いつでもビールは旨い! - サンフランシスコでクラフトビール旅

サンフランシスコ及びベイエリアを中心としたクラフトビールのレビューやブリュワリーの紹介をしています。大手はもちろん、できたばかりのマイクロ/ナノブリュワリーや西海岸のビールのトレンド、ビアフェス等のイベントも網羅。

[2024年5月3日訪問]
この二年ほどの間に名前を聞く機会が増えたオレゴン州のポートランドの新しいブリュワリー、それがBrujos Brewing だ。
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元々はブラックメタルやドゥーム好きなビアギークのインスタ等で見ていたが、昨年ポートランドを訪れたときにはなんとできたばかりの IPA を Living Häus で缶詰めしていているところに出会うことができた。その後アングラで情報量が少ないところにも惹かれ追っかけ City Beer Storeに繋がったMoksaとのコラボを飲めたりはしたが、ブリュワリー兼タップルームをポートランドに開くという情報を聞き 2024 年の 5 月(タップルーム開店後 2 ヶ月程)にようやく訪れることができた。(なおこの記事を書いている 2024 年の 6 月時点で Untappd の Best Micro Brewery 部門で一位という人気っぷりだ。)

Brujos は Great Notion で働いていたこともある Sam Zermeño 氏によるブリュワリーで、ホームブリューや契約ブリューイング施設でのリリースを経て短い期間で自らのブリュワリーとタップルームを持つまで成長することができた。ここのHazy IPAやWest Coast IPAは特にファンが多く生産する量もまだ少ないことからカルト的な人気があり、ビアギークにとっていつかは飲みたいビールの一つになっている(なお詳細な Brujos の歴史は Good Beer Hunting の記事で読むことができる。)

訪れた日は生憎の雨だったが、早い時間だったこともあり近くで降りてタップルームへ。”Crafting Liquid Spells (液体化した魔法を錬成中)”と書かれた扉をくぐり中へ。(関係無いがサンディエゴの Modern Times のコースターにも "Brewed by Wizards" と書かれていたが、皆魔術好きなのか?)
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少し聞いてはいたが、まさに教会を模した不思議な雰囲気が広がっている。入り口近辺の教会を思わせるランプとBrujosの例のイラスト。
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中はやや暗くオカルトの雰囲気がたっぷり。
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並べられた教会風の長椅子には Brujos のロゴが。
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早速ビールを頼むことに。
今回飲んだのは以下の4種類。
  • Cuatro Jinetes:Mosaic WC IPA
  • Cuatro Jinetes:Nelson Hazy DIPA
  • The Pact DDH Hazy DIPA (Collab w/ Willow Park)
  • Trismegistus TDH Hazy TIPA (Collab w/ Fidens)
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どの Hazy IPA も トロトロでホップが程よく爆発。TIPA の濃厚さもすごかった。7 種類のビールがタップにつながっていたが全て IPA(Hazy/WC)という潔さ。ファンをよくわかっている。
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テーマとしてはダークだけど実際のタップルームはスタッフも明るく何よりもビールが美味しいので機会があれば是非一度訪れて欲しい🍻

ビールの美味しさに興奮していると何やら人だかりが。今日はどうやらコロラド州デンバーの Cerebral Brewing のイベントが近くであるらしく関係者が来ていたみた。(この時はまだこの写真に写っている人と数分後に友達になり Cerebral のイベントにも行き Brujos の Sam さん含むブリュワーの皆さんと写真をとることになるとは思ってもいなかった。。。)
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なお、ここのタップルーム内にはキッチンがあり、Saint Love Joy's のご飯を食べることができる。メキシカンのフュージョン(だけではないが)の料理で今回食べたのは Crispy Birria Rice Ball。トルティーヤチップとメキシカンライスの団子の中にチーズやラム肉が入っていて新感覚の美味しさだった。
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タップルームがあるのは倉庫外の様なエリアなのだけど、そこから23rdに沿って南下すると数ブロックでアパレルや雑貨店のあるおしゃれなエリアに辿り着けるのでその探索もおすすめ。

[以下おまけ]
お土産のTシャツ。黒Tシャツに金色の文字が素敵。白文字のバージョンもあったがこちらを選択。
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そして今回無事に購入することができた Cuatro Jinetes Mosaic WC IPA の缶。
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Brujos Brewing
2377 NW Wilson St
Portland, OR 97217
brujosbrewing.com

週末にサンフランシスコからベイブリッジを渡り、イーストベイのウェストオークランド (West Oakland) にあるブリュワリー Brix Factory Brewing へ。なお Brix (ブリックス値)とは、食品産業などで糖の含有量を示す値のこと。その名前を冠したブリュワリーという考え方が面白い。
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ここは元 Drake's でHead BrewerだったJohn Gillooly氏と、同様に元D rake's のブリュワーだった Michael Boals 氏が新たに立ち上げたブリュワリーで 3 月の初めにオープンし、その後着々と人気を集めている。ここがまず注力しているのは綺麗な(クリーンな)ビール。それを示す様にタップに繋がっているビールもピルスナーや WC IPA、そしてラガーが多く、それ以外にも面白い味を追求したフルーツ系のセルツァーとブロンドのハイブリッドなどもあった。
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タップルーム兼ブリュワリーはかつての印刷会社の跡地を利用したとのことで、広いスペースを上手く生かした設計となっている。この日は家族連れやペット連れも多く、皆がそれぞれ楽しく時間を過ごしながら美味しいビールを楽しんでいる感じだった。また、オープンしたばかりだからか John 氏とその娘さんをタップルームで見かけることができた。
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この日に飲んだのは以下:
  • Eye of Tazman - NZ Pilsner w/ Superdelic Hops
  • Plunging Wave - WC IPA
  • Coffee Siklon Stout - Tropical Stout w/ Timorese Coffee by Royal Coffee
  • Pop Art - Fruited Ale w/ blackberry, marionberry, and pomegranate
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いずれも雑味がなくすっきりとしてとても美味しかった。NZ ピルスナーのキレも良かったし、訪れた時に飲んでいる人が多かったフルーツエールもくど過ぎずバランスが良かった。

ここはブリュワリー施設がタップルームの中にそのままあり、しかもその目の前に席があるのでブリューイング作業が行われているときに来て作る様子を目の前で眺めながらビール飲むこともできそうだ。
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また、ビールを飲みながら PC で作業したい人にも嬉しいのは電源がカウンター席を含め多くの場所に完備されていること。なかなかこのようなタップルームは少ないのでこれは良い。
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オープンしたてではあるが、グッズも充実。右の旗は SF Beer Week の Opening Gala に出店していたときのもの。
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Brix Factory Brewing のある West Oakland なのだが、まさに再開発中のエリアで、すぐ近くには Ghost Town のタップルームやベイエリアで本格的な手打ち蕎麦を食べることができる Sobaichi (そばいち)、更には Brix と同じビルの中には 30 分で完売すると噂の June's Pizza の新たな店舗や Wondrous にてみかけることも多いフライドライス専門店 Woo Can Cook もオープンするとのこと。
訪れた日も、Horn BBQ で有名な Matt Horn 氏が手掛けた近くのチキンサンド店 Kowbird にて昼御飯を持ち込みビールと共に楽しんだ。
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現状はまだ綺麗なマンションと工場施設が乱立しているのだが、これから綺麗なエリアになっていくことに期待したい。
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タップルームの入り口はこの様な感じで West Oakland に行ったことがある人ならば一度は通るであろう Mandela Parkway 沿い。2024 年 3 月時点では、周りに駐車できるところも多くパーキングには困らなそうだ。
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ここはペットフレンドリーなタップルームでもあり DogsOfBrix というタップルームを訪れたペットを取り上げたインスタアカウントもある。

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Brix Factory Brewing
brixfactorybrewing.com
2400 Mandela Parkway, Oakland, CA 94607

先日 Cellarmaker のオークランドにできた新しいブリュワリー施設兼タップルームの Cellarmaker Oakland について書いたが、こちらはその近くの街バークレーにあるもう一つのタップルーム Cellarmaker Berkeley。
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ここは以前はThe Rare Barrel のブリュワリー兼タップルームだった場所で Cellarmaker が昨年 The Rare Barrel ブランドごと購入。少し前に新しい Cellarmaker のサインが描かれ、漸くそれっぽくなった。

The Rare Barrel が莫大な数のバレルを保有し、それらをエイジしていた施設ということもありこのタップルームとにかく広い。到着した時には我々以外に 3 組ほどしかいなかったが、そこからは立て続けにお客さんが入ってきて、帰るころには室内のテーブルは全て埋まっていた。
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広くベビーカーを置きやすいからかお子さんを連れた家族の率も高かったのが印象に残っている。
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ここのブリュワリー施設には The Rarae Barrel 時代にあったHello Friends (The Rare Barrel のホップを使ったビール用のブランド)の設備に加え Cellarmaker の設備も入りつつあり、ここでもいずれビールがつくられるのかも。だとするとオークランドの設備も合わせると生産量がとんでもないことになりそうだ。
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オークランドのタップルームがご飯が充実しているのに対してこちらのタップルームはビールの種類の多さに焦点を当てているように感じられる。以前にリリース日にここでしかタップで繋がっていないビール等もあった。

今回飲んだのは以下。左から順番に:
  • Slo Glo Hazy WC Pale Ale - There Does Not Exist とのコラボ。ダンクで草っぽさがありながらも口当たり良く飲みやすい。このHazy Pale Aleの色 (The Glow!) こそ Cellarmaker!
  • Triple Mount Nelson Triple IPA - ニュージーランドの Freestyle FarmのNelson ホップを 100% 使用した定番 TIPA。
  • Good Seeing You Again! DDH WC DIPA - Green Cheek とのコラボ。パイニーさ爆発で切れ味良く美味しかった。
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〆には
  • Coffee & Cigarettes Nitro Smoked Porter - Cellarmaker 定番のポーターがナイトロで!Sightglass のコーヒー豆使用。このビールはカスクも美味しかったがナイトロも素晴らしい!
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こちらは店舗の前に停まっていた Cellarmaker のバン。俳優の Jan Claude Van Damme をもじり、Dank な Van になっているのが面白い!何故か隣には HenHouse のトラック。
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タップルームに残っていた The Rare Barrel の名残り。The Rare Barrel はサワー/ファームハウスエールのみをつくる(故に "All Sour")という de Garde にも近い独特な雰囲気を持っていただけに残念だが、これも時代の流れか。TRBは IPA ですら Sour IPA だった。
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Cellarmaker のその他のタップルームは以下:
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Cellarmaker Brewing Co.
cellarmakerbrewing.com
940 Parker Street, Berkeley CA 94710 (Berkeley Taproom)

[ 2023 年 6 月訪問 - 移転前のGeorgetownのタップルーム最終日]

8年ほど前にロンドンで初めてカスクからハンドポンプでエールを飲み、それ以来定期的にカスクのエールを飲んでいる。美味しいところに当たることは多く、このMachine House Brewing はまさにそんなブリュワリーの一つだった。

Machine House Brewery は2013年創業のシアトルのEnglish Cask Ale専門のブリュワリー。ハンドポンプにて常温で注がれるビールにこだわりをもっており、それ故に熱狂的なファンも多い。

そんな Machine House を訪れたのは2023年の6月の晴れた日だった。ブリュワリーへと続く道の先にここのトレードマークともなっている煙突が見える。”Cask Ales”と書かれた看板に歩みが自然と速まる。
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タップルームの中にはいるとハンドポンプによく似合うクラシカルな雰囲気に圧倒される。なんと偶然にもこの日は訪れたタップルームの営業最終日とのこと。移転先を未だ探しているのでしばらくの間はタップルームでビールが飲めなくなることから多くの常連さんが訪れていた。年季の入った昔のMachine HouseのTシャツを着ている年配の方も。
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訪れた時には9種類のビールがつながっておりそのうち7種がカスクで2種類がIPA。ここは迷わずカスクのビールを注文。種類も多く飲みたいのでハーフパイントで。
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Golden Ale
ドライなモルトとしっかりしたホップを味わえるエール。

Dark Mild
ローステッドモルトのキャラクターがしっかりと感じられるのにもかかわらず口当たりが軽いマイルドエール。
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Best Bitter
バランスが素晴らしいビターエール。

Stinging Nettle Ale
季節限定のイラクサを使用したアンバーエールでハーブっぽさもあり。
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いずれもカスクならではアロマと風味を味わえ大満足。

こちらはもちろんグッズが充実しており、今回は定番のロゴ入りTシャツを購入。黒板に書かれた”Not warm. Cellar temperature (暖かいのではなくセラー/室温) ” というメッセージが良い。
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なお、他のブリュワリー同様に外の席も気持ちよさそうだった。
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冒頭にも書いたが、こちらのタップルーム自体は6月に閉店して、シアトル内の新しい場所にてブリュワリー兼タップルームの営業が開始したとのこと。この記事ではブリュワリーの紹介と、雰囲気の良かった以前のGeorgetownのタップルームを記録として残せればと思う。

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Machine House Brewery
machinehousebrewery.com
5718 Rainier Ave S, Seattle, WA 98118 (新しいタップルーム)

シアトル最終日は Bizarre Brewing へ。シアトルの中でも北西の Magnolia 地区にあり、2022年の10月にオープンしたばかりの比較的新しいブリュワリー。しかしながらオーナーの一人 Colette Boilini 氏は Cloudburst や Holy Mountain での経験があり、もう一人の Derek Brown 氏はその Holy Mountain でバレルプログラムの責任者をしていたというベテラン二人が立ち上げている。その勢いは凄く、立ち上げてすぐなのにもかかわらず Hop Culture の 2022 年の Best New Breweries の記事に既に名を連ねている。

ここが特徴的なのは、ビールのほとんどが6%以下ということ。故に軽めのラガーやピルスナーが多いが、ペールエールやバレルエイジ、そしてスタウトも。訪問した時には IPA は無し!この様なこだわりのあるところには期待しかない。

ここを訪れたのは 12 月のクリスマス直前。タップルームは倉庫外の中にあり、本当にこの道か?というところを進むと突然あらわれる。
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当日はあいにく小雨だったが入口近くの席も晴れた日には気持ち良さそう。タップルームの中に入るとオープンしたばかりの時間帯だからかまだ空いていた。
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この日のラインアップはラガー 3 種類、ピルスナー 3 種、コーゼ 1 種、ペールエール 2 種、マイルド 2 種、バレルエイジされたダークラガー、そしてチョコレートスタウト。サイズは 16oz か8 oz か選択可能(一部例外あり)
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店員さんに話を聞くと丁度先週がオープン1周年記念だったそうで、記念のビールもつながっていた。

ここで飲んだのは:

XX Mild - English Mild
ハンドポンプで注がれる。NY の Schenker Beer Co とのコラボ。ビールの歴史学者 Ron Petterson が発見した昔のレシピを再現。ここのブリュワリーの house pub yeast を使用。
口当たりが良くクリーミー、キャラメルと心地よい苦味が最高だった。

Release the Bats! - Double Dry Hopped 1sy Anniversary Pale Ale
Citra、Nelson、Citra Lupomax、Nectaron、Talus ホップを使用。 こちらはややしっかりとした Pale Ale。これもバランス良く美味しい。

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Steam Noir - Barrel Fermented Dark Steam Lager
Steam Beer、もしくは California Common とも呼ばれるサンフランシスコで生まれたこのスタイルはラガーを通常よりも高い温度で発酵させてつくられる。Steam Noir はワイン樽の中で一次発酵を行い、その後冷えた樽で3週間熟成(ラガー)されている。
Anchorを想像していたがそれともやや異なり、モルト感とワイン樽のウッド感、でも口あたりが素晴らしく良い。これも美味しかった。
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Ghosts of Goslar - Blended Gose Fermented in Oak: Hayton Farms Tayberry 2023
カベルネ・フラン樽でエイジしたゴーゼと赤ワイン樽でエイジしたウィートエールのブレンド。
ワインに近いけど確かにエール!これぞHoly Mountainのバレルエイジで鍛えたテクニックが光る一杯だった。こちらも1周年記念ビールで周年Tシャツもこのビールのデザイン
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いずれのビールもちゃんと特徴があり手間をかけてつくっている感じが伝わる。今回のセレクションは良かったらしくお店に人にも「一通りのスタイルを飲んでくれてありがとう!」と言われたが、むしろもっと飲みたかったぐらい。アルコール度数が低いからこそごまかしは効かず、ブリュワーの技術が重要になってくると言うことか。

お土産も充実していて、Tシャツの種類も豊富。エコバッグもあり。今回はフロントポッケとバックプリントのTシャツを購入。タップルームからブリュワリー施設が見える。缶の購入も可能。
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充分に美味しいビールを楽しみ、出る頃にはすでに日が暮れていた。この頃にはお客さんも増え、家族連れや犬と一緒にきている人、ビール片手にPCで作業している人など、様々な人が思い思いのペースでビールと自分の時間を楽しんでいた。
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ここは是非ともまた来たい場所の一つ。

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Bizarre Brewing
bizarrebrewing.com
4441 26th Ave W Suite A, Seattle, WA 98199, US

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